法人破産においてやってはいけないこと

法人破産の場合、個人の自己破産よりも、慎重に対応しなければならない点がいくつかあります。
「やってもバレないだろう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、厳格な審査や手続きの中で、必ずバレます。

下記のようなことをやってしまうと、手続きができなくなったり、大きな影響が出る可能性がありますので、ご注意ください。

1.一部の債権者だけに返済をしてはいけない(偏頗弁済)

破産手続きにおいては、「債権者平等の原則」というルールで、債権の種類により配当を受ける順番が決められており、同じ順番の債権者は平等に取り扱わなければなりません。

お世話になった取引先へ優先的に返済したいというお気持ちはわかりますが、一部の債権者だけに支払いをする(偏頗弁済)と、破産管財人から、お金を返すようにという裁判(否認請求)を起こされます。

債権者に、かえって迷惑をかけることになりますので、控えてください。

2.財産隠しをしてはいけない

破産直前に、会社名義の預金を他人の口座に移し変えたり、不動産の名義を変更したりすることは、財産隠しになります。

たとえ、家族や奥様であっても、後になって、破産の手続きができなくなる可能性がありますので、どうしても財産の名義を移す必要がある際には、一度、弁護士にご相談ください。

3.会社の財産(不動産や在庫商品など)を廉価で売却してはいけない

法人破産とは、会社の財産を換金し、債権者への配当に回すという手続きです。
そのため、勝手に財産を廉価で処分した場合、債権者への配当に回せる額が減少し、債権者に損害を与えることになります。
適正価格で処分され、債権者への配当原資として、充てられる必要があります。
必ず、事前に弁護士へご相談ください。

4.破産の予定を、安易に周囲に漏らしてはいけない

破産の予定を漏らすことで、債権者が、強引な督促を行うことも考えられます。
また、破産費用に充てるための売掛金を差し押さえられるということもあるかもしれません。
手続きそのものに支障が出るということはありませんが、混乱を避けるため、周囲に話さないようにしてください。

5.弁護士に嘘の報告をしてはいけない

ご依頼後、破産申立や申立後に「伝えていなかった財産がある」など、知らない事実が発覚することがあります。
今後のために、財産をある程度残しておきたいお気持ちはわかりますが、隠していると、「詐欺破産罪」という犯罪行為にあたる可能性があります。

なお、経営者の方が同時に申し立てる場合は、99万円以下の現金は手元に残せます。
また、途中で嘘が発覚すると、手続きを1からやり直さなくてはいけません。
1日も早く問題を解決するために、絶対に、嘘を伝えないようにしてください。

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