法人破産をする場合、経営者の方にとって、気がかりのひとつが従業員の対応だと思います。
今まで会社に貢献してくれた従業員のために、きちんと手続きをとることが大切です。
以下の4つを中心に、解雇に伴う諸手続きを、速やかに行いましょう。
1.解雇の通知
残念ながら、破産すると、従業員は全員解雇することになります。
その場合、30日前までに「解雇の通知(解雇予告)」をしなければなりません。
30日前までに予告ができなかった場合には、30日に足りない日数分の賃金を払う必要があります。
いずれにしても、従業員は次の仕事を探す必要がありますので、なるべく早く伝えた方がよいでしょう。
2.未払い賃金の支払い
従業員への未払い賃金に対しては、なんとか支払ってあげたいという気持ちが強いと思いますが、現実的には用意できない場合も多いものです。
そこで、労働者健康福祉機構の「未払賃金立替払制度」を活用すると、未払いとなっている給料や退職金の最大80%を、国に立替えてもらえます。(※解雇予告手当や賞与などは対象外)
3.雇用保険(失業保険)・社会保険
破産により解雇された従業員は、突然給与が支払われなくなって困るため、雇用保険(失業保険)の給付を受けることができます。
そのため、会社は従業員に対して「離職票」を交付する必要があります。
従業員は、離職票などの書類を持ってハローワークで手続きをとれば、雇用保険を受け取ることができます。
社会保険については、解雇の翌日から被保険者の資格を喪失します。
したがって、会社は、
- 社会保険の資格喪失届を交付
- 従業員の被保険者証カード・被扶養者用カードを回収し、日本年金機構へ提出
上記2点の手続きを行う必要があります。
また、従業員は社会保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替え手続きを行います。
4.厚生年金
勤務先の会社が破産したからといって、従業員の年金が減ったり、もらえなくなるようなことは、ありません。
次の就職先が決まっている場合は、その会社に年金手帳を提出をすれば、手続きをしてもらえます。すぐに再就職しない場合には、住民票を置いている市町村役場で、国民年金へ加入する必要があります。
これまでの厚生年金を任意継続できる場合もありますが、2ヶ月以上社会保険に加入していたことや、退職から20日以内に申請することなどの一定の条件があります。
なお、継続できる期間が最大2年であることや、条件によっては国民年金の方が安くなる場合もあることなどから、どちらにするのかを慎重に判断する必要があります。料金については、年金事務所で確認することができますので、一度相談してみるとよいでしょう。
経営者は、年金の手続きに関して、しっかりと従業員に説明しておくことが大切です。
破産に際して、従業員は怒りや悲しみ、不安などを抱くことでしょう。これは今まで会社のために働いてくれたのですから、当然の感情とも言えます。
従業員からの不安や非難の声は、私たち弁護士が窓口となり、あなたの緩衝材としての役割を果たします。
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