任意整理のデメリットは自己破産や個人再生に比べると少ないですが、3つのデメリットがあります。
- 信用情報に事故情報が記録され、クレジットカードやローンの利用が難しくなる(ブラックリスト入り)
- 債権者が任意整理に応じてくれない場合もある
- 借金の支払いは残る
任意整理の3つのデメリット
信用情報に事故情報が記録される(ブラックリストに載る)
任意整理をすると、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に事故情報として、債務整理をした記録が残ります。
この、信用情報機関に事故情報が載っている事が、いわゆる「ブラックリストに載る」と言われる状態です。
実際に「ブラックリスト」という物が存在している訳ではありません。
信用情報機関とは、個人の借入や返済の延滞などの情報を収集している機関のことで、加盟している貸金業者はこれらの情報を共有しています。
貸金業者は、信用情報機関の情報を参考にして、借入の審査を行っているのです。
事故情報がある事は、貸金業者にとってマイナス要素ですので、カードやローンの利用などに影響が出る可能性があります。
クレジットカードやローンの利用が難しくなる
信用情報機関に事故情報が載っている(ブラックリスト入りしている)と、新規でクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりする事が難しくなります。
任意整理の対象外にしたクレジットカードも、途上与信(カード使用中、定期的におこなわれる審査)の時に事故情報が見つかると、使えなくなる可能性があります。
任意整理による事故情報の登録期間は約5年です。
事故情報が記録されている間は、クレジットカードやローンの利用が難しくなります。
しかし、登録期間が過ぎれば、事故情報は抹消されますので、その後は新たな借入が可能になります。
銀行口座が凍結されることがある
銀行系カードローンや、銀行からの借入を任意整理の対象にすると、その銀行に預金口座を持っている人は、一時的に口座が凍結されてしまいます。
弁護士に任意整理を依頼すると、任意整理の対象になっている借入先に受任通知を送ります。
銀行は受任通知を受け取ると、その人の口座を凍結してしまいます。
銀行は少しでもお金を返して欲しいので、預金口座のお金と借金を相殺するために、口座を凍結して任意整理をする人がお金を引き出せない状態にします。
ただし、三菱UFJ銀行や三井住友銀行など、大手都市銀行などでは、保証会社による保証手続きが済んで銀行内の処理が終われば、また使えるようになります。
口座凍結によって、どのような困り事が出るのかは個人個人によって事情が異なります。
どのようにすべきかは、相談の際に弁護士がご説明しますのでご安心ください。
債権者が交渉に応じてくれない場合もある
任意整理は、「債権者(お金を貸した人)と交渉して借金を減額する」方法ですので、債権者が交渉に応じてくれなければ任意整理で借金は減額できません。
貸金業者の中には、任意整理には応じない業者や、任意整理の和解には条件がある業者もいます。
また、借入期間がかなり短い場合や、支払いの滞納が何度も繰り返しあった場合も、任意整理に応じてもらえない事があります。
自分の場合は応じてもらえるのかどうかは、弁護士との相談で確認ができますので、ぜひお気軽にご相談ください。
借金の支払いは残る
自己破産とは違い、任意整理は借金の返済が無くなる訳ではありません。
また、個人再生の様に大幅な借金減額ができる訳では無いため、場合によっては、任意整理をしてもあまり借金が減らないという人もいます。
ただし、任意整理を依頼したら、引き直し計算で高額な過払い金が見つかり、大幅な借金の減額や完済ができたというケースもあります。
任意整理の3つのメリット
任意整理のメリットは、たくさんありますが、大きく3つに分けられます。
- 完済まで無理のない返済に変わる
- 裁判所を通す手続きではない
- 比較的デメリットが少ない
完済まで無理のない返済に変わる
任意整理をすると、月々の返済額が減り、無理のない返済計画に変わります。
任意整理では、借金の利息がカットされるので、返済をすれば元本が減っていく事になります。
利息だけしか支払いができず、いつまで経っても返済が進まないという状況を改善できます。
将来利息をカットして月々の負担額を減らせる
任意整理は、利息の支払いを無くす代わりに、元本を3年で分割返済する事が一般的です。
交渉次第では、返済期間を3年以上に延ばせるケースもあります。
債務者が返済できなくなって、自己破産してしまうと、元本の回収さえできなくなってしまうので、月々の返済額を減らして返済期間を延ばしてくれる債権者も少なくありません。
過払い金があれば元金を減額できる
任意整理をする場合、返済計画を作るにあたって、金融業者から取引履歴を取り寄せて、利息の引き直し計算をします。
引き直し計算をすると、これまでに払いすぎた利息、つまり過払い金が発生していたかどうかが判明します。
過払い金が発生していた場合、この先の利息だけではなく、元本を減らす事もできます。
裁判所を通す手続きではない
任意整理は、金融業者などの債権者に対して直接、借金減額の交渉をする手続きですので、裁判所を通す手続きではありません。
裁判所を通さないため、手続きをするための要件が無く、裁判所に出頭する必要もありません。
法的な条件が必要ではない
自己破産であれば、支払い不能状態である事が必要ですし、個人再生であれば、借金の合計が5000万円を超えない事が条件となります。
しかし任意整理の場合は、破産法や民事再生法という法律で定められた、裁判所を通した債務の整理手続ではありません。
裁判所を通さず、個々の債権者と個別に交渉をするため、手続きをするための要件がありません。
例えば、借金の総額が100万円以下でも、かなり高額であっても、債権者との交渉が成立して和解できれば、任意整理で毎月の返済額を減額できます。
ただし、和解を成立させるには、減額後の借金を返済できなければいけませんので、債権者に同意してもらうためには安定した収入が無ければ難しいです。
保証人や車に影響がある借金は対象外にできる
保証人がいる借金を任意整理した場合、保証人に請求をされてしまいます。
また、自動車ローンを任意整理してしまうと、ローン支払い中の車は引き上げられてしまいます。
そのため、保証人に迷惑をかけたくない場合や、車を手放したくない場合は、保証人がいる借金や自動車ローンを任意整理の対象から外しておきましょう。
もし、どうしても保証人がいる借金を任意整理したい、という場合は保証人も一緒に任意整理をすれば、保証人が請求をされる事は無くなります。
ただし、保証人も任意整理をするという事は、保証人の信用情報に事故情報が残る事になりますので、よく話し合って、慎重に手続きをしなければいけません。
専門家に依頼すると比較的、簡単に手続きができる
弁護士などの専門家に任意整理を依頼した場合、専門家が依頼者の代理人となって、ほとんどの手続きを代行します。
金融業者との交渉は専門家が進めるため、依頼者は専門家の指示を受けて必要な書類を用意するだけで任意整理の手続きができます。
裁判所を通さない手続きのため、自己破産や個人再生に比べると、必要な書類も少ないです。
また、専門家に依頼をした場合、金融業者からの支払いの催促を、最短即日で止める事ができます。
任意整理を専門家に依頼すると、専門家から債権者に対して「受任通知」が送付されます。
受任通知を受け取った金融業者は、債務者に対して直接支払い請求をする事ができなくなるのです。
任意整理の支払いが再開するのは、和解成立後になります。
和解成立までの返済の一時停止期間は、一般的には弁護士への依頼費用を貯めたり、貯金をしていく事になります。
自己破産や個人再生に比べるとデメリットが少ない
借金問題の解決策は、任意整理以外にも、借金の返済が免除される自己破産や、大幅な借金減額ができる個人再生という方法があります。
任意整理は、自己破産や個人再生と比べて、デメリットが少ないという特徴があります。
職業制限が無い
自己破産をすると、一定期間、特定の職業に就けなくなります。
任意整理には職業制限はありません。
会社には知られないように手続きができるため、自分で言わない限り、周囲の人間に借金の事を知られる可能性はかなり低いです。
官報に載らない
自己破産や個人再生をした場合、官報に住所や名前が掲載されます。
官報は、国が発行している新聞のような物で、裁判所が出した決定内容などが載っています。
任意整理の場合、裁判所とは関係のない手続きですので、官報に住所や名前が掲載される事はありません。