自己破産の期間・流れが知りたい!免責を受けて返済義務から免れるまで

目次

自己破産とは

自己破産とは、裁判所に「破産申立書」を提出し、借金が支払い不能であることを認めてもらい、全ての借金(税金や養育費を除く)の返済義務を、免れることができる手続きです。

「支払い不能であることを認める」というのは、裁判官が、現在の収入や資産、将来得られるであろう収入などから総合的に判断し、今ある借金を完済する能力がないと考えることです。

そのため、自己破産は“借金がいくらあったらできるものなのか”という明確な基準はありません。

例えば、同じ「借金300万円」という条件でも、継続的に毎月手取り60万円あるという人と、毎月10万円しかないという人では、自己破産できる可能性に差が生まれるのです。

つまり、「○万円から自己破産できる」という基準があるわけではなく、その人が、「その借金を返済できるのか」ということが、基準となるというわけです。

ただ、自己破産は、裁判所に認められさえすれば、例え、何百万円・何千万円という借金があっても、返済する義務がなくなるので、どうしようもない状況に陥った場合に、最終手段とも言える有効な方法です。

自己破産における免責とは

自己破産は、手続きをスタートするための「破産手続き開始の申立て」とは別に、「免責許可の申立て」をする必要があります。

免責(めんせき)とは、残った借金について、支払義務を免除する制度のことで、裁判所から免責許可の決定を受けることで初めて、借金を返さなくてもよくなるのです。

ここで、「破産手続き開始の申立て」「免責許可の申立て」2つも手続きをしなければならないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに以前は、その必要がありました。

しかし現在は破産法(自己破産に関する法律)が改正され、「破産手続開始決定の申立てがあった場合には、免責許可の申立てもされたものとみなす」とされていますので、わざわざ別の手続きをする必要はなくなったのです。

なお、免責が下りれば借金はなくなりますが、裁判所が免責を認めないと判断した場合には、支払義務はなくなりません。

この時、免責許可されなかった原因のことを、免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)と言い、次のように定められています。

  • 財産を隠したり勝手に他人に贈与した場合
  • 換金目的でクレジットカード、ローンなどを利用した場合
  • 特定の債権者だけに返済をした場合
  • 虚偽の情報を申告し、お金を借りた場合
  • ギャンブルや浪費などで著しく財産を減少させた場合
  • 過去7年以内に免責を受けている場合(※2回目であっても、7年以上経過していれば可能)
  • など・・・

    このように様々な理由があることを知り、「免責を認められなかったらどうしよう」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    そんな方は、この表をご覧ください。

    免責申立ての結果
    許可 不許可 申立却下・棄却 取り下げ 死亡終了 不明(記入漏れ含む)
    96.44% 0.00% 0.24% 2.75% 0.32% 0.24%

     
    これは、日本弁護士連合会が公表している調査結果です。

    この調査結果によると、2014年に自己破産の申立てをして、免責不許可となった人は、0だったということがわかります。

    2014年だけでなく、その前に遡っても、その割合は非常に低く、ほとんどの人が免責を許可されているのです。

    そのため、実際には、よっぽどひどいことをしていない限り、そこまで心配する必要はありません。

    自分だけで、「免責不許可事由に該当する項目があるから、自己破産はできない」と判断して、諦めないでください。

    専門家である私たち弁護士に、相談されることをおすすめします。

    非免責債権

    「免責不許可」とよく間違われがちなのが、「非免責債権(ひめんせきさいけん)」です。

    どちらも、免責されないという点では同じですが、両者は全く異なります。

    非免責債権とは、そもそも、自己破産をしても支払義務がなくならない、つまり、免責されない債務のことを言います。

    どういったものが、非免責債権に該当するのかは、破産法で定められていて、大きく7つに分けられます。

    ①税金・社会保険料

    住民税や自動車税・所得税・相続税などすべての税金や、社会保険料を指します。

    もちろん納税は国民の義務ですので、破産後も払う必要があります。

    ②悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償金(慰謝料)

    悪意で加えた=違法であると知りながら行った行為のことを指します。

    例えば、他人の物を盗む、他人の家の物を故意に壊した、会社のお金を横領するなどの場合が考えられます。

    ③故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償金

    ②の中でも、生命・身体を害する不法行為、つまり、暴力をふるってケガを負わせた・死亡させたといったことに対する損害賠償金のことです。

    こういったお金は、例え自己破産をしても、当然、支払義務はなくなりません。

    ④婚姻費用・養育費など、扶養義務者として負担すべき費用

    例えば、離婚後に、別居した相手に対して支払う生活費(婚姻費用)や、子どもに支払う養育費は、支払い続けなければなりません。

    もしも支払いが厳しく、払えないという場合には、減額調停を起こすという手もあります。

    ⑤従業員への給与や預かり金

    個人事業をしていて、従業員へ未払いの給料や預かり金がある場合、優先的に、従業員に支払い・返還する義務があります。

    ただ、優先的とは言っても、無い袖は振れませんので、その際は未払賃金立替払制度などを利用するといいでしょう。

    ⑥債権者名簿に記載しなかったもの

    自己破産の申立てをする場合、裁判所に全ての債権者を申告する義務があります。

    つまり、あくまでも、債権者名簿に記載した債権のみが、免責許可の範囲となるわけです。

    ⑦罰金

    警察や自治体からの罰金、例えば交通違反や刑事処分による罰金などは、免責対象外です。

    もしも自己破産をして、これらの支払義務がなくなるとしたら、意味がありませんよね。

    同時廃止と管財事件

    自己破産の手続きには「同時廃止(どうじはいし)」と「管財事件(かんざいじけん)」の2種類があります。

    本来、自己破産とは、破産者の財産を換金処分し、債務者に配当する手続きです。

    ただし、破産者に一定以上の財産がないことが明らかであれば、配当ができませんので、自己破産手続きは、開始と同時に終了し、これを「同時廃止」と呼びます。

    一方、破産者に財産がある場合や免責不許可事由がある場合には、破産手続きの開始と同時に、破産管財人(破産手続きをする者とは別の弁護士)が選任され、この破産管財人によって、資産の調査や換金が行われ、最終的には配当、そして手続きの終了となります。

    破産管財人が選任されることから、これを「管財事件」と言います。

    端的に言うと、同時廃止は、資産を持っていない人のための手続き、管財事件は、ある程度の資産を持っている人のための手続きというわけです。

    自己破産にかかる期間、手続きの流れや手順

    自己破産は、同時廃止と管財事件とで、手続きにかかる期間の長さが異なります。

    同時廃止は、破産開始決定と同時に手続きが終了するので、比較的、早く終了し、3ヶ月~半年程度です。

    一方、管財事件は破産管財人によって財産が分配される手続きに時間を要するため、半年~1年以上かかります。

    また、免責不許可事由に該当する可能性がある場合も、免責許可が下りず、通常より期間が長引くことがあります。

    ちなみに、個人の自己破産の場合、全て返済に充ててしまい、もう残っている財産は何もないという方が大半のため、多くの方が同時廃止の手続きとなっています。

    流れ・手順

    1.ご相談・ご依頼
    まずは、直接、ご相談いただき、弁護士に依頼をします。

    2.受任通知を発送
    各債権者に「受任通知」を発送し、弁護士が受任した旨を伝えます。

    これによって、すぐに取立てや請求がなくなります。

    3.引き直し計算・債務額の確定
    利息制限法を超えた利率での取引がある場合、法定利息に基づき引き直し計算をし、過払い金が発生していれば、返還請求を行います。

    4.自己破産の申立て
    手続きに必要な書類を用意し、裁判所に提出することによって、自己破産の申立てをします。

    5.破産手続き開始決定
    支払い不能と認められれば、破産手続きが開始します。

    この時に、「同時廃止」「管財事件」どちらになるのか判断されます。

    6.(1)同時廃止
    売却する財産がなければ、破産手続き開始決定と同時に、同時廃止決定となります。

    6.(2)管財事件
    破産管財人を選任し、財産の売却や配当が行われた後、債権者集会が行われます。

    7.免責審尋
    最終的に免責を認めるかの免責審尋(めんせきしんじん)が行われ、裁判所が問題なしと判断すれば、免責許可となります。

    免責審尋の際は、依頼者本人が裁判所に行く必要がありますが、「氏名・住所などに間違いはないか」「免責不許可事由はないか」といった簡単な質問をされるだけなので、心配ありません。

    8.免責の確定
    免責許可が確定したら、全ての債務の支払義務が免除されます。

    資格制限を受けていた場合には、この時点で、制限がなくなります。

     
    ※裁判所によって、流れが異なる場合があります。

    自己破産のメリットとデメリット【返済義務がなくなる一方、家族に迷惑がかかるケースも】

    メリット

    すべての債務の返済義務がなくなる

    最大のメリットは、全ての借金の支払義務がなくなることです。

    「全ての借金」ですので、1,000万円でも10億円でも、借金額に制限はありません。

    自己破産は、どうしてもマイナスイメージがつきまといますが、借金の返済をなくすことで、新たな人生を再スタートさせられる制度です。

    そのため、決して、破産者として烙印を押される制度ではありませんよ。

    債権者からの督促・返済が止まる

    自己破産の手続きを開始すると、消費者金融など、貸金業者からの取り立て行為は禁止されるので、督促の電話や訪問、嫌がらせがなくなります。

    これは、弁護士などの専門家が「債務整理を受任した」という旨の受任通知を送ることによって、その後は、債権者は債務者に直接連絡をしてはいけないと法律上、決められているからです。

    また、破産手続きの申立て後は、返済もしなくてもよくなります。

    ある程度の財産を残すことができる

    手続き終了後に、お金が0だと、生活の立て直しができないため、自己破産手続きをしても、一文無しになるということはありません。

    生活の再建ができるお金、生活のために必要最低限のお金は、「自由財産」と言い、ある程度残すことができます。

    《自由財産》

    • 99万円以下の現金
    • 生活に必要なお金として、手元に残しておける

    • 新得財産
    • 破産手続き開始よりも後に得た財産(給与など)

    • 差し押さえ禁止財産
    • 生活に欠かせない衣服や家具、家電、寝具など

    • 自由財産の拡張によって認められた財産
    • 本来の自由財産の範囲を、裁判所の決定により拡張してもらえる、現金の他、車椅子や補聴器など、没収されると、その後の生活ができないというもの

    • 破産財団から放棄された財産
    • 破産管財人によって処分される財産を「破産財団」といい、売却できる見込みがない、回収コストが見合わない財産については、この破産財団から放棄される

    デメリット

    財産が処分される

    自己破産は、破産者の財産を換価し、債権者に配当する手続きのため、所有している財産については、没収されてしまいます。

    具体的には、現金99万円以下という自由財産を残し、それ以上のお金は全て処分されるのです。

    他の財産においても、原則、価値が20万円を超えるものは、処分対象です。

    家族にも迷惑がかかる(子供・親など、家族が連帯保証人の場合)

    自己破産は申立てをした本人に対するもので、原則、家族への影響はありません。

    しかし、子供・親など家族が連帯保証人になっている場合には、その人に債権者からの取立てが行ってしまい、迷惑がかかることが考えられます。

    礼儀として、手続きをする前に、連帯保証人である家族に、自己破産のことを説明し、理解を得ておくようにしましょう。

    ブラックリストに載るため、新たな借り入れやクレジットカードの新規作成ができない

    自己破産をすると、個人信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録されるため、登録が消えるまでの5~7年程度は、新しく借金をしたり、クレジットカードの新規作成はできません。

    また、携帯電話(スマホ)を新しく買う場合にも、端末代を分割で払うためのローンは、通らないことが多いでしょう。

    就けない仕事(資格制限)がある

    自己破産をしたからといって、それを理由に会社を解雇されるということはありませんが、○○士と名前が付く士業(例えば、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士など)・生命保険募集人・旅行業者・警備員など、一部の職業では、破産後、制限されます。

    ただし、一生その仕事に就けないわけではなく、自己破産手続きを終えるまでの間だけなので、免責されれば、復職が可能です。

    自己破産によくある勘違い【家を借りられない!?海外旅行に行けない!?】

    自己破産をすると、多少のデメリットはあります。

    しかし、世の中には、間違った情報やデマが一人歩きしてしまっているのです。

    自己破産は、そんなに怖いものではありません。

    間違った情報を鵜呑みにして、手続きすることを諦めないようにしてください。

    正しい知識を知って、自己破産をすべきかどうか、見極めましょう。

    会社や近所の人などに知られる?

    自己破産をしたことが周りの人に知られたら恥ずかしい・・・と思うかもしれませんが、裁判所から会社に情報が行くこともありませんし、近所の人に知れ渡るということもありません。

    なお、官報という、国の広報誌に個人情報が載りますが、これは一般の人が見ることは、まずないものですので、ここからバレるというのは通常考えられません。

    今の家を出て行かなければならない?新たにアパートを借りられない?

    家賃の滞納がなければ、賃貸の場合でも、追い出されることはありません。

    また、新たに部屋を借りる場合にも、自由に賃貸借契約ができます。

    ただし、家賃支払いにクレジットカードや信販系の保証会社を通している場合には、審査が通らないことがあります。

    その際は、そういった審査を通さない物件を探し直して、再チャレンジしてください。

    戸籍謄本や住民票などに載る?

    自己破産の事実は、官報には記載されますが、戸籍謄本や住民票に明記されることはありません。

    そのため、これらの書類を見られることによって、誰かに知られるのでは?という心配は無用なのです。

    もちろん、運転免許証やパスポートなどにも記載されることはありませんよ。

    二度と海外旅行に行けなくなる?

    自己破産をしたからといって、海外旅行に行けないということはありません。

    ただし、管財事件の場合は、破産の手続きが終わるまでは、国内・国外問わず、裁判所の許可なしで長期の旅行に行くことはできません。

    手続きが終了した後は、何も制限がありませんので自由です。

    自己破産後に得た収入の使い道が制限される?

    手続き後に、取得した財産においては、自由財産になりますので、制限はありません。

    ただし、今までと同じようなお金の使い方をしていると、またあっという間に、借金地獄となってしまいます。

    自由とはいえ、しっかりと、再出発のための資金として使ってください。

    自己破産の費用が払えない・・・かかる費用の相場はいくらくらい?


    自己破産の手続きを考えている誰もが共通して抱える不安は、「費用」の問題だと思います。

    状況によって金額が異なりますので、一概にいくらとは言えないのですが、数十万円という、決して安くない金額となるのが、現状です。

    必要なのは、予納金(官報広告費や破産管財人への報酬など)・印紙代(申立て手数料)・郵便切手代という①裁判所に支払う費用と、着手金・成功報酬金という②弁護士に支払う費用の2種類です。

    弁護士に支払う費用においては、手続きも複雑で拘束時間も長い自己破産は、他の債務整理手続きより高く設定されていることが少なくありません。

    ただ、これらの費用を払うことができないという方も、諦めないでください。

    ステップ法律事務所では、弁護士費用の分割払いが可能ですので、まとまった現金を一括で用意する必要がない場合があります。

    また、全国対応で訪問無料相談もしており、無料相談・無料見積もりも対応が可能です。

    費用の目安を知りたい方は、まずは一度、直接お問い合わせください。

    自己破産するお金がなくても、生活保護受給中なら費用の負担なし

    生活保護を受けていても、自己破産をすることはできます。

    また、破産手続き後でも、受給対象者であれば、生活保護を受けられます。

    なお、弁護士費用を捻出できない場合には、法テラスで立て替えをしてもらえ、弁護士費用や予納金の借り入れが可能です。

    法テラス(正式名称:日本司法支援センター)とは、国が設立した公的な窓口で、法律に関する相談や費用の援助などが受けられます。

    生活保護受給者でない方も利用できますが、その場合、予納金の立て替えはできず、弁護士費用のみの借り入れとなります。

    そして、生活保護を受けている場合、手続きが全て終了しても受給し続けている状態なら、借り入れた予納金の返還義務を全て免除してもらえます。

    つまり、費用の負担なく、自己破産ができるというわけです。

    自己破産するべき?手続きは弁護士に依頼

    自己破産は、免責許可が下りれば、返済地獄から逃れることができる手続きです。

    ただし、当然、少なからずデメリットも存在することを忘れてはなりません。

    そういったデメリットがあっても、本当に自己破産をするべきなのだろうか、自己破産に向いているのだろうかと、考える必要があります。

    具体的に“こういう人は絶対に手続きをするべき”というものはありませんが、次のような条件を、判断基準にしてください。

    1.返済の目処が立たない・借金額が大きい人
    自己破産後には、返済がゼロになります。

    そのため、どう頑張っても返しようがない、すなわち、返済能力がないという人には、最後の切り札とも言える手段です。

    個人再生と違って、減らせる額に限度はありませんので、借金額が大きい人には、特におすすめです。

    2.失う財産がない人
    自己破産をすると、一部を除き、財産を処分しなくてはいけません。

    そのため、没収されたくない財産があるという人にはあまり向いておらず、失うものがほとんどないという人の方が、自己破産のメリットを大きく感じることができるでしょう。

    自己破産は返済義務がなくなるという大きなメリットがあります。

    生活が苦しい、毎月の支払いが滞りがちという方は、自己破産が得意な私たち弁護士にお電話ください。

    ちなみに、自己破産は個人でも行うことができますが、手続きをしたほとんどの方が、専門家に依頼しているのが現状です。

    もちろん費用はかかりますが、慣れない手続きや書類集めを確実に進められ、スムーズに免責許可を受けられるため、自己破産は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

    【自己破産Q&A】よくある質問

    Q.自己破産したら、車は処分される? 

    ・自動車ローンが残っていない場合
    時価が20万円以下の場合は、手元に残すことができますが、20万円以上であれば、原則として、自動車は処分されてしまいます。

    ただし、「持病の治療のために通院をする必要がある」「親の介護をしなければならない」などの理由で、車がないと生活ができないという正当な理由があるケースは、価値が20万円以上の車でも、手元に残せる可能性があります。

    ・自動車ローンが残っている場合
    ローンを完済するまでは、車の所有権は、ローン会社にあります。

    そのため、ローンを残したまま自己破産をすると、ローン会社に返さなければならず、車を手元に残すことはできません。

    Q.自己破産したら、奨学金は免除される?

    奨学金も免責の対象ですので、他の借金と同じように、免責許可が決定されれば、返済義務はなくなります。

    しかし、注意したいのが、保証人・連帯保証人です。

    奨学金の場合、多くが家族や親族が保証人・連帯保証人となっていると思いますので、もし自己破産をすると、そういった方に、残額分が一括で請求されます。

    事前にしっかりと説明をし、トラブルにならないように気をつけましょう。

    Q.自己破産したら、住宅ローンはどうなる?

    自己破産では、特定の債権者だけを選ぶことができないので、「住宅ローンだけ残して、他の借金を整理する」ということはできません。

    そのため、返済中の住宅ローンがある場合、免責許可により、返済義務はなくなりますが、マイホームを手放す必要があります。

    なお、住宅ローンの返済が終わっていても、破産管財人によって、売却処分されることになるので、自己破産で家を残せる可能性は、かなり低いと言えます。

    ちなみに、個人再生という債務整理なら、マイホームを残す方法も考えられます。

    家を残しつつ、他の借金を整理したいという方は、一度、お電話ください。

    Q.自己破産したら、転居(引越し)できない?

    自己破産をした人は、引越しできなくなるという噂がありますが、これはあくまでも、手続き中のみの話です。

    もっとも、同時廃止の場合や免責決定後には、自由に転居することができます。

    管財事件の場合のみ、裁判所の許可が必要ですが、ほとんどの場合、問題なく許可が下りるので、引越しは可能というわけです。

    自己破産の申請中にやってはいけないこと

    自己破産は、手続き中、何をしていてもいいということはなく、間違ったことをすると、免責が認められなくなることがあります。

    申請中に、絶対にやってはいけない行動に、ご注意ください。

    新たに借金をする

    借金状況に嘘をついて借金をする、クレジットカードの現金化なども当然やってはいけません。

    財産を隠す

    不動産の名義を移す、偽装離婚をする、財産目録(所有している財産を一覧にまとめる書類)に虚偽の記載をするなどの財産隠しが、免責不許可事由としてよくある問題です。

    債権者を隠す

    保証人のついている債務を隠す、特定の債権者にだけ支払いをするといった行為は、偏頗(へんぱ)弁済と呼ばれ、許されていません。

    指示に従わない

    自己破産が終わるまでは、裁判所・破産管財人・弁護士から様々な指示を受けることになりますが、そういった指示に従わないと、免責が認められなくなるおそれがあります。

    例えば、求められた書類や資料を提出しなかったり、裁判所へ出頭しなかったり、弁護士からの連絡を無視したりすると、非協力的だとみなされ、免責不許可となることがあります。

     
    一部で、自己破産申請中は、「転職・退職してはいけない」「結婚してはいけない」「一切の買い物もしてはいけない」という噂がありますが、そういったことはありません。

    もちろん、過剰な浪費やギャンブルは気をつける必要がありますが、日常生活に必要な食料品や日用品は、問題なく、買うことができます。

    自己破産というイメージで、生活に厳しい制限がありそうと思われがちですが、実際には、日常生活で、そこまで大きく支障が出るような制限はありません。

    気になることがある場合には、随時、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

    自己破産の体験談(解決事例)


    • Kさん 30代(男性)/東京都在住/会社員
    • 借金額:約500万円/毎月の返済額:約15万円

    このままでは月々の返済額が20万円を超えてしまう!絶対に支払っていけない!と思って、弁護士への依頼を決めました。

    手続きは、すぐに終わるものだと思っていたので、1年以上かかる場合もあると説明を受けた時に、とてもビックリしたことを覚えています。

    でも実際には、1年はかからず終わったので、割とあっけなかったです。

    膨大な書類作成も、一瞬不安になりましたが、弁護士さんと一緒に進めていけたので、問題ありませんでした!

    最終的に、車を手放すことになってしまったのはショックですが、返済に追われない生活ができていて、すごく嬉しいです。

    その他の債務整理方法との比較

    自己破産は、借金がある人にとって、いわば最後の砦であり、借金を整理する方法は、自己破産以外にも考えられます。

    具体的には、任意整理・個人再生という債務整理や、過払い金返還請求という方法があるのです。

    • 任意整理
    • 裁判所を通さずに、弁護士が直接、貸金業者と話し合い、借金の減額や将来利息のカット、分割の交渉をする手続き

    • 個人再生
    • 借金を100万円または1/5に減額し、減額された借金を原則3年分割払いで完済すると残りは免除される手続き

    • 過払い金返還請求
    • 法定利息で計算し直し、払い過ぎた利息を取り戻すことができる手続き

    もしも「自己破産はしたくない」という理由で、専門家への相談を躊躇しているという方は、他の方法がないか、私たち弁護士と一緒に考えましょう。

    自己破産の前にできることがあるかもしれません。

    まずは、ご相談という「一歩」を踏み出してみてください。

    自己破産後の生活

    自己破産によって返済義務が免除された後は、もう二度と同じことを繰り返さないように気をつけて、人生の再スタートを切らなくてはいけません。

    ブラックリストから消えるまでの一定期間、ローンを組むことはできませんが、仕事を辞める必要もなく、必要最低限の財産も残すことができます。

    免責許可後は、少しでも貯金を増やせるように、生活していきましょう。

    自己破産は、きっとあなたが想像しているよりデメリットや制限は少なく、借金生活から脱出できる大きなチャンスになることでしょう。

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